ブログトップ

NUU レコーディング日記

nuunuunuu.exblog.jp

<   2008年 04月 ( 6 )   > この月の画像一覧

秋の夜の会話

*最新ニュース!*
ニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』が、ご予約頂けるようになりました!!NUUこだわりのジャケット、ぜひ手にとって頂きたいです!
******

5月28日発売。NUUニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のレコーディング裏話をちょっとだけレポート!


2008年5月28日にNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』がリリースされます!アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けいたします♪

***

4月3日(木)晴

この日、私がスタジオに到着したとき、「第八月満月の夜の満潮時の歓喜の歌」のギターの録音を一足早く終えた共同プロデューサーの笹子重治さんが、ちょうど外出されるタイミングだった。のちほど!と言ってどこかへ行ってしまう…。まだ他の方はみえておらず、レコーディングの準備をしているスタジオハピネスの平野さんと少しお話。笹子さんは、この曲の録音を2テイクぐらいで済ませてしまったらしい…。
d0122500_15364957.jpg
**レコーディングが早い。笹子さん**

 平野さんがこのスタジオハピネスをスタートさせてから、今年でちょうど10周年。NUUと同じだ。
NUUと平野さんのお付き合いは、アルバム『あかり』から。あの頃と比べると、NUUちゃんはどんどん自由になってゆくよね〜、面白い!と言っていた。

 そこへNUU、今日録音する「秋の夜の会話」の作曲者の谷川賢作さんが登場。谷川さんは、前作『縫う』でも参加して頂いており、NUUの魅力とテンションをぐーん!と引き上げる力は人一倍なのです。おやつに置いてあるチョコレートを見て「チョコ食べると、テンションさがっちゃうんだよな〜」と言いながら、ぱくっと食べていた!NUUが「やめてくださいおよ〜」と笑う。相変わらず、息ピッタリな二人。

完成したアルバムジャケットやちらしを見てもらったりして歓談するうちに、笹子さんが戻ってきた。
d0122500_1536853.jpg
**谷川賢作さん。持っている楽器が「アンデス」。珍しそうに覗き込むのは、スタジオ猫のシロさん**

 前作のレコーディングの時に、「谷川さんにお会いすると、NUUのテンションが上がる」ということに気がついたのですが、今回のレコーディングでは「NUUのみならず、笹子さんのテンションも上がる」ことが判明しました。なんとなく”同年代(?)仲間”がいるのを喜ぶ感じで、ちょっと嬉しげです。そして三人の空気がふわんとあったまったところで、レコーディングスタート。

 この曲は、笹子さんのギター、谷川さんのアンデス(鍵盤ハーモニカの一種で、小学校などで使うリコーダーの音色を鍵盤ハーモニカで出すことができる楽器です)を録音、そして、NUUの唄を重ねてゆきます。
 「秋の夜の会話」は、その名の通り、秋の夜に、次の季節の予感を感じた蛙が、その思いを語る詩です。形式としては二匹の蛙の会話、なのですが、そこで、NUUが谷川さんに質問しました。
「この詩の、蛙って、二匹だと思いますか?私、頭の中の会話みたいな感じで考えているんですが…」
「うん。僕もそう思う。ついつい一人でつぶやいている感じ」

同じ詩を読んでも、人それぞれ感じ方が違うし、見えてくる景色も違う。どういう風に読まなければいけない。というルールもない。けれど二人は同じ空気をイメージして詩に向き合っていた。

体にあたる風がだんだんと冷たくなってきて、さて、冬がやってくるね。冬は寒いだろうな……。と、歩きながら考え事をするときのように。自分の考えに、自分の中のもう一人の自分が答える。そんな会話が唄になる。

谷川さんは、この詩をNUUから送られてきた時「自分らしい詩だな、良かったな」とまず思ったそうだ。そしてNUUの唄声や雰囲気を思い出しながらメロディーを作っていったという。実際に唄を入れてみたら想像以上だったようで
「詩の”切ない”っていうところ、いいね〜。いい感じ。惚れそう!あ、人柄じゃなくて、唄声ね」
「”さむいね”の”ね”の響きが本当にいい!!」
「唄声の中に、ところどころスマイルが見えたり。そういうところがすごいね〜」
とピンポイントで感心しきりだった。

確かに、イメージはしていても、実際に唄ってもらわないと、どんな仕上がりになるかはわからない。きっと谷川さんがイメージする”切なさ”をもっと広げる、そんな唄声だったのだと思う。
そして、そして、その世界のベースを支える笹子さんのギター。

 このように三人が演奏したり、唄を唄ったりしている間、私はぼけーっとしているわけなんですが、この曲は、びっくりする程に気持ちが引き寄せられた。秋の夜の切なさがこれでもか!これでもか!!と聞く側に押し寄せてくる。「せつない」を音にしたら、まさにこれだ!と思うくらい。涙がでるほど、切ないメロディー。

 短い詩が存在して、その詩にメロディーをつけて、唄にする。

 その時、3人の頭には、それぞれに景色が見えているように感じる。
声だけで、アンデスだけで、ギターだけで、その”景色”を表現できる人達。本当に達人だと、驚かされる。そして、その空気感を理解して、全体をまとめあげるエンジニアの平野さんも、すごい。

 最後に、”虫の音”を入れよう、ということになり、そこでちょっとバタバタ。それまで落ち着いて自分たちのパートをこなしていた3人がああでもない、こうでもない、と色々ためしている。鈴の音から、お金のちゃりん、という音、瓶を吹いて出す音や、その他色々、ためしてみては「それはちょっと…」と笑いながら却下したり、わいわいと作っていった。いったい、どの音が”虫”として採用されたのか?それは、ぜひアルバムで確かめてみてください!
d0122500_15362459.jpg
**飲んでいるのでは、ありません。**

 そして、ものすごく楽しくてテンションの高めの三人で、本当に切ない曲をあっという間に作り上げたのでした。

 そして、そして!
この後、次の曲の録音のために、大勢の蛙達がスタジオにやってくるのです!!

つづく


***
お詫びと訂正

前回の日記で
「百姓といふ言葉のピアノ」
という記述がありましたが、
「百姓といふ言葉」では、夏秋さんの担当は鍵盤ハーモニカでした。
大変失礼いたしました。
お詫びして、訂正いたします。

代田橋郁子
***

このレコーディング日記でお届けしているアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』を
聞く事のできるイベントが5月11日にいわき市で開催されます!!

『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん 〜NUU、草野心平をうたう』

出演:NUU + 笹子重治(ギター)+夏秋文彦(ピアノ+鍵盤ハーモニカ)

日時:5/11(日)15:00開演(14:30客席開場) 
会場:草野心平記念文学館 いわき市
  (JR磐越東線「小川郷」駅より車で10分・駅から会場までの公共交通機関はございませんのでご注意下さい)
入場料:大人2,000円 高・高専・大生1,500円 小・中学生1,300円 (文学館観覧料含)

4月11日電話にて予約受付開始

ご予約:アリオスチケットセンター:0246-22-5800
    草野心平記念文学館   :0246-83-0005
[PR]
by recdiary | 2008-04-29 15:49

百姓といふ言葉は……


5月28日発売。NUUニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のレコーディング裏話をちょっとだけレポート!


2008年5月28日にNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』がリリースされます!アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けいたします♪

***

3月19日(水)晴

「百姓といふ言葉」のレコーディング

夏秋さんの鍵盤ハーモニカの音にパーカッションを重ねてゆく。

今回のアルバム作りは、詩を選んで、作曲をして、録音する、という全ての作業が、かなり短い期間の中で早いスピードで進んでいました。なので、1曲のレコーディングに長い時間をかけたり、参加するミュージシャンとゆっくりアルバムの内容について話し合うことは、できません。そんな中で「百姓といふ言葉」に曲をつけた夏秋さんがパーカッションに選んだのは
「自分がつけたメロディーを、すぐに理解してくれてついてこれるパーカッションといえば、裕子しかいない!」
と絶対の信頼を置くUooMooの相棒、中北裕子さん。『ぬぅとうーむぅの深呼吸ライブ』でも一緒に活動している夏秋さん、裕子さん、NUUは、楽しそうに楽器を選んで、音を入れてった。

ザブンバ、ヘボロ、ジャンベ、ブガラ、ダラブッカ…
この世の中には、本当に沢山の種類の楽器があって、それぞれに名前がある…。特にパーカッションの楽器の名前は、まるで呪文のようだ。その中から「百姓といふ言葉」という曲にあう音を3人が探ってゆく。「ヘボロの音が”土”の感じがでるね」とか「野菜の名前は軽やかに聞かせたいから鈴が…」とか…。
歌の雰囲気を説明するのに「切ない」とか「やさしさ」とかじゃなくて「土」とか「野菜」がキーワードになっているのが面白い。NUUのアルバムらしい、と言えば、らしい。そして穏やかな鍵ハモの流れの上に、土を耕すような、パーカッションの音が重ねられた。
d0122500_1632303.jpg

沢山の楽器に囲まれる裕子さん♪

そして、NUUの唄入れ。
前回の「自分コーラス重ね録り」の時ほどではないけれど、今日も緊張している。唄い方について少し悩んでいた。
「普段の自分の唄だったら、ライブでいっぱい唄っていてイメージがあるんだけど、まだつかみきれてなくて…」
と言う。どんな唄い方がいいのかなあ、声を張ったほうがいいのか?優しい感じがいいのか?
「鋤とか鍬とか、使ったことないし。畑仕事をした事がないから、気持ちがわかんないよ〜」
なんて言っている。

夏秋さんは、あまり具体的な指示を出さないで本人が何かを掴むのを待っている。大変そうですね…、と夏秋さんに声をかけると
「いつも通り、NUUらしく唄えば、それでいいんだけどね〜」
と穏やかに答えてくれた。彼女が内側に持っているけれど、まだ開いていないドアが開くのを、待っている。これも信頼感の成せる技だ。



「百姓といふ言葉」という詩が作られたのは、昭和51年(1976)。草野心平さんが73歳のときに刊行された「植物も動物」という詩集に収められている。この詩の中で草野さんは、20年農業をやっているが、あこがれの”百姓”には、まだ遠い…、と(言葉は違いますが)書いている。

この詩集が発表されたのが73歳ということは、草野さんが農業を始められたのは50代の頃。と考えられる。そして、70代になられても、まだ、まだ、学ぶ事がある、という。

NUUはデビューをして今年で10年目。
10年だって長い。その倍の長さ。あと10年経っても、あこがれの状態には至っていない、と草野さんは言っている。それは、とても長くて果てしない道のりのようでありながら、でも、人生ってそういうものなのかな?という安堵感も伝えわってくる。

今感じてる不安や、わからない、という気持ち。それは、多分、すごく先になってもきっとある。でもそれは悪い事じゃなくて、ずっと続けてゆくっていうのは、多分、そういうことなんだ。

草野さんが荒れ地を耕したように、NUUもまた、これまでにやったことのない事にチャレンジしている。”畑を耕したことがない”NUUが、今唄える唄を、唄っている。

きっと、その”途上感”こそ、変化してゆく雰囲気を残した唄い方こそが、この詩にあっているんだ、と迷うNUUを見ながら思っていた。

そして、改めて「百姓といふ言葉」という詩の言葉は、農業だけじゃなくて、全ての職業に通じる。と気がつく。

たった一言に「はっ!」とする、感じ。
これこそが、詩の素晴らしいところ。
草野さんの偉大さを知る。

結局唄は、3回ぐらい唄ったところで、OKとなった。
最初の緊張感がほぐれて、NUUらしさと言葉の持っている力が
ひゅっと、一つになった瞬間に、できあがった。

その後「婆さん蛙ミミミの挨拶」という詩の朗読を録音して、
この日のレコーディングを終えた。


つづく
d0122500_16321643.jpg

夏秋さん、裕子さんとNUU


***

このレコーディング日記でお届けしているアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』を
聞く事のできるイベントが5月11日にいわき市で開催されます!!

『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん 〜NUU、草野心平をうたう』

出演:NUU + 笹子重治(ギター)+夏秋文彦(ピアノ+鍵盤ハーモニカ)

日時:5/11(日)15:00開演(14:30客席開場) 
会場:草野心平記念文学館 いわき市
  (JR磐越東線「小川郷」駅より車で10分・駅から会場までの公共交通機関はございませんのでご注意下さい)
入場料:大人2,000円 高・高専・大生1,500円 小・中学生1,300円 (文学館観覧料含)

4月11日電話にて予約受付開始

ご予約:アリオスチケットセンター:0246-22-5800
    草野心平記念文学館   :0246-83-0005
[PR]
by recdiary | 2008-04-22 16:42

レコーディング初日 スタジオ・ハピネス編

5月28日発売。NUUニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のレコーディング裏話をちょっとだけレポート!


2008年5月28日にNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』がリリースされます!アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けいたします♪

* * *

3月17日(月) スタジオ・ハピネス編

藤野から、びゅーんと車に乗って、スタジオ・ハピネスに移動。

まずは「鰻と蛙」の夏秋さんの鍵盤ハーモニカを録音しました。

夏秋さんは、午前中に録音したピアノの上に、様々な音程の鍵盤ハーモニカを重ねてゆく。ぴろぴろとした高い音から、蛙の鳴き声のような低い音まで。重ねられて、曲に厚みが出てくる。

 例えば、ピアノが縦糸で、鍵ハモが横糸みたい。ピアノの音の上に、新しい音が一本ずつ組みあわさるたびに、作曲者である夏秋さんの頭の中でできあがっている絵が少しずつ、私達に見え始める。

 そして最後に、その絵を完成させるべく、NUUの唄を録音。

 実は、この日、NUUはとてもそわそわとしていた。

 スタジオに到着する直前から、飲み物を準備したり、ストレッチをしたり、お茶を入れたり、ヘッドホンで唄を聞きながら歩き回ったり…。こんなに落ち着かないNUUの姿を見るのは、もしかすると初めてかもしれない。というくらい、そわそわとしている。
「唄う前って、すごく力が抜けちゃうんですよね〜」と言いながら、スタジオの中を歩き回る…しゃがんで…のびをして…声を出す。また歩く。

 「鰻と蛙」のヴォーカルは、いつものように唄うだけではなく、NUU自身が6種類ほどのコーラスを重ねてゆく、「NUUの声だらけ」になる曲。

 それが、ちょっとばかり、苦手な様子だ。

 一般的に、唄やメロディーを作るとき、ミュージシャンは、五線譜に音譜を書いて作ってゆく。リズムは何拍子。音はこの音…という感じに。
 でも、普段NUUが唄を産んでゆくとき、音階とかリズムとか、そういう基準を持たずに作り出してゆく。彼女の産み出す曲達は、実は、想像以上に、西洋音楽の枠組みに捕われていない自由な唄なのだ。
 だから、この和音に、この和音を重ねる…、とか、○拍子のリズムで全て整える…、なんていう作業は、楽譜を持たない彼女にとって、ちょっと難しい。
 いつもは、あんなにも自由に気持ち良さそうに唄っている彼女が、”ここは4拍子だから”とか”この音階で重ねて”と言われると、つまずいている…。不思議な光景。

 作曲者である夏秋さんは、特に怒りも急かしもせずに、何度もやり直しをさせる。鍵盤ハーモニカで、出すべき音をぷーっとならして、何度も確認する。この音だよ。この音にかさねるのは、この音で、このリズム…。もう、できないよ〜。なんて、NUUにしては珍しく、弱音もちらほら。

 ガギグゲゴー ラリルレロー カキクケコー ガッガッガー

 唄っているNUUも、聞いている私達も、だんだん何がなんだかわからなくなってくる…。何が正しく、何が間違っているのか?自分がどこを唄っているのか?はたして、これで唄になるのか?

 ただ一人、夏秋さんだけが、その全貌を知っている!

 そんな風にして出来上がった「鰻と蛙」。

出来上がりを聞いたら、なんとも不思議な世界が出来上がっていた…。
音蛙:夏秋文彦、唄蛙:NUU
というか…。

ぐるぐるとまわる螺旋階段を、てくてくと歩いているうちに、上がっているのか、下がっているのか、自分でもわからなくなるような。そしてそれでもずんずん進んでゆくと、そこには草野心平さんの世界が待っているような…、そんな曲となりました。

長ーい、レコーディング初日。

1曲目から、密度の濃いアルバムになりそうな予感が漂いました…。
d0122500_1616243.jpg

夏秋さんとNUU。こんな笑顔がいっぱいのレコーディングです。


つづく


***

このレコーディング日記でお届けしているアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』を
聞く事のできるイベントが5月11日にいわき市で開催されます!!

『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん 〜NUU、草野心平をうたう』

出演:NUU + 笹子重治(ギター)+夏秋文彦(ピアノ+鍵盤ハーモニカ)

日時:5/11(日)15:00開演(14:30客席開場) 
会場:草野心平記念文学館 いわき市
  (JR磐越東線「小川郷」駅より車で10分・駅から会場までの公共交通機関はございませんのでご注意下さい)
入場料:大人2,000円 高・高専・大生1,500円 小・中学生1,300円 (文学館観覧料含)

4月11日電話にて予約受付開始

ご予約:アリオスチケットセンター:0246-22-5800
    草野心平記念文学館   :0246-83-0005
[PR]
by recdiary | 2008-04-16 16:18

レコーディング初日 藤野編

5月28日発売。NUUニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のレコーディング裏話をちょっとだけレポート!


2008年5月28日にNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』がリリースされます!アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けいたします♪

* * *

3月17日(月)晴  藤野編

 まずは、夏秋文彦さんの弾くグランドピアノの音を録音するために向かったのは、神奈川県津久井郡藤野町にある「藤野 芸術の家」。ここは、絵を描いたり、工芸をしたり、音楽を作ったり…と、様々なアートを体験できて、しかも宿泊もできるという芸術を支援する施設で、今回はこの中にある音楽スタジオでグランドピアノの録音を行いました。この日のメンバーは、録音を担当するエンジニアの平野さん、夏秋さん、NUUの3名。NUUが到着するのを待ちながら、録音の準備が始まりました。
d0122500_14193639.jpg

マイクをセッティングする平野さん。ピアノを弾く夏秋さん


 夏秋さんにレコーディングする「鰻と蛙」と「百姓といふ言葉」について聞いてみると

「昨年、草野心平文学館でライブをした時、NUUが「鰻と蛙」を即興で歌ったんだよね。その時のイメージがやっぱりあって。で、改めて詩をもらって見ていたら、頭に降りてきたメロディーがあったから、それを中心に作りました。でも、”カキクケコ”にメロディーをつけたのは初めてで…。びっくりした。すごく面白いよね。「百姓という言葉」は、すごい…多いよね、野菜の数が(笑)。しかもわかんないんだよ。名前で調べてみたんだけど出てこないだよね、シボレッテとか」

という答。

 草野心平さんの「鰻と蛙」という詩は、詩の前半にある1行以外は、全て、”カキクケコ”や”ラリルレロ”等の五十音を並べたような音ばかり。これが繰り返されることで、蛙の鳴き声が表現されている。
「夏秋さんは前世が蛙だったからね!夏秋さんは蛙が好きだから、このアルバムでは”蛙”が出てくる唄を絶対お願いしようと思って!」
と嬉しそうにNUUは言うが、この詩が送られてきたら、いくら蛙が好きでもやっぱり驚くと思う…

 ”カキクケコ”とか、”ラリルレロ”にメロディーをつける。

というだけでも大変そうなのに、求められるのはもちろんそれだけではなく、詩の中にあるストーリーを汲み取って音にしなくてはならない。


改めて、もう一度、詩に目を通してみる。

 詩を鑑賞する…なんて、学生の頃以来だ。一見すると、ただのカキクケコの羅列。でも、日本語の言葉になっている1行を境にして、ちゃんと気持ちの変化がある。短い詩の中に隠された気持ちの動き。しかも蛙の。
 唄のために作られたわけではない歌詞に、曲をつける。普通の日本語ではない言葉から何かを読み取って、音楽にする。夏秋さんの柔軟さがメロディーになって流れ出す。

 もう一曲、夏秋さんが作曲を担当した「百姓といふ言葉」は、晩年、農業に携わっていた草野さんの独白のような詩。草野さんが実際に作った野菜や果物の名前がなんと41種類も歌詞に出てくる。食べ物の出てくる唄が大好きなNUUは大喜びでこの詩をピックアップしたのだけれど、実際に唄にしようとすると、読み方がわからないものや、その野菜自体がどんなものなのか、調べられないもがいくつかあった。

シボレッテ? アンボワーズ? ……ヴィタミン菜?

 いわき市立草野心平記念文学館の方に読み方を確認すると
「そればっかりは、詩を書いた本人にしかわからないので、こちらではお答えできません。野菜のことは農協に聞いて頂いた方が…」
という返事。そういうわけで、読み方はわかる範囲内で調べて唄にすることになった。

  結局、夏秋さんのピアノの音の録音は、スタートするとあっという間。いい音が録れたね〜、と大満足。あまりにもあっさりしていた…。そして、みんなでランチを食べて今度は、スタジオへ移動したのでした。

 ただ。

いざ録音スタート!となったとき、機材が思うように動かなかった。エンジニアの平野さんがあれ〜?と言いながら色々とためしてみるが、様子がへん…。どうやら電圧の問題だったようで、すぐに解決したのですが、平野さんが作業している間、”もしかして、草野さんも初日から参加だったりして……ね”なんて言いながら、私達は待っていた。

 この日に限らず、レコーディングの期間中、機材のちょっとしたトラブルや、ノイズが入る度に「お、草野さん!」なんて言いながら復旧を待っていた。なんとなく、本当に、草野さんが蛙の唄の様子をちょっとちょっと、見に来てくれているような、そんな気がした。心強い応援でした。
d0122500_14204773.jpg

無事レコーディングが終わって一安心。藤野の山をバックに…

 つづく。 
※17日の移動後は、明日更新いたします!お楽しみに〜♪

***

このレコーディング日記でお届けしているアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』を聞く事のできるイベントが5月11日にいわき市で開催されます!!

『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん 〜NUU、草野心平をうたう』

出演:NUU + 笹子重治(ギター)+夏秋文彦(ピアノ+鍵盤ハーモニカ)

日時:5/11(日)15:00開演(14:30客席開場) 
会場:草野心平記念文学館 いわき市
  (JR磐越東線「小川郷」駅より車で10分・駅から会場までの公共交通機関はございませんのでご注意下さい)
入場料:大人2,000円 高・高専・大生1,500円 小・中学生1,300円 (文学館観覧料含)

4月11日電話にて予約受付開始

ご予約:アリオスチケットセンター:0246-22-5800
    草野心平記念文学館   :0246-83-0005
[PR]
by recdiary | 2008-04-15 14:22

ジャケットのデザインをきめる日


5月28日発売。NUUニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のレコーディング裏話をちょっとだけレポート!


2008年5月28日にNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』がリリースされます!アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けいたします♪

* * *

3月11日(金)晴

この日は、デザイナー兼カメラマンの岡崎直哉さんのお宅で、ジャケットデザインの打ち合わせ。

「せっかくのコラボレーションアルバムだし、普段のNUUのアルバムではやっていない事にチャレンジしようと思って」
というNUUの意見から、アルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のジャケットは、実際の刺繍をデザインに使用することになった。

 もともとNUUは刺繍が好きで、いつかアルバムジャケットに使うのもいいかもしれない…とアイディアをあたためてはいたのだが、なかなか実現のチャンスは訪れなかった。それが今回、NUUに「よし!刺繍を使おう」という決断をさせたのは、なによりも霜田あゆ美さんという素敵な作家さんとの出会いがあったから。
 イラストや刺繍で作品を発表しているアーティスト、霜田あゆ美さんとNUUが初めて出会ったのは、金沢でのこと。霜田さんの作品には”幸せ”が縫いとられていた。

 例えば、ごはん、おみそしる、鮭、ほうれん草のおひたし…などの普通の”日本のごはん”を刺繍で描いた作品や、愛らしい表情の蛙たち…。毎日の暮しの中でひょっこりと顔を出す幸せを丁寧にうつしとるような霜田さんの作品は、NUUの心にしっかりと残っていた。

 そして、今回のアルバムを作ると決まったとき、
「草野心平さんといえば、蛙の詩。蛙だったら、霜田さんにお願いできないだろうか…」
と思いついたという。早速霜田さんに連絡をとり、アルバムの内容、唄にする詩などを読んでもらい、

*”蛙”のモチーフで作ってほしい。
*虹が好きなので、デザインの中に”虹”を入れてほしい。

という2点を伝えて、刺繍を依頼した。その後、出来上がったいくつかのデザイン案の中からNUUが選んだのは、の〜んびりと寝っころがった蛙。
空には虹がかかり、蝶々や虫達が顔を出す。

そこには、ポカポカした陽気の中で暮らす、のんびり幸せな蛙の世界ができあがっていた。
もう、これに決定!!

そして、デザイン確認のこの日、すでに数日前に霜田さんから送られてきた蛙の刺繍と、その他CDの盤面や歌詞カードで使うイラストたちがテーブルの上に広げられた。

ジャケットの表側から裏側へ、寝っころがった蛙の全身を大きく使う。
CDケースを広げて立てると、この刺繍の全体を飾って見られるような、そんなデザイン…。
岡崎さんの頭にも、NUUの頭にも、出来上がりはじめている。
CDのデザイン、とひとくちにいっても、実際には多くの作業がある。デザイン、文字の大きさ、形、使用する紙の質感、色の具合。決めることは沢山あるはずなのに、二人はゆったりと、こんな色ならきれいだね、こんな紙だと気持ちいいね、と話ながら決めてゆく。

前回のアルバム『縫う』の制作の時の感じたのだが、NUUのアルバム制作チームの人たちは、おだやかで、そして、丁寧だ。イライラしたり、怒ったりしている人を見たことがない。人を焦らせたり、追いつめたり、しない。限られた時間の中で、最高の仕事をする。しかも、笑顔で。
当たり前のことかもしれないけれど、
これほど心強いことはない。

今回のアルバムの表紙には、タイトルの

『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』

と、

『詩 草野心平  唄 NUU』

という文字を入れることになった。

これまでのNUUのアルバムでも、既存のフォントを使わずに、毎回その作品にあわせて文字を自ら創り出す岡崎さん。今回は、どんな文字にするかイメージは湧いてますか?
と質問したら、

文字のイメージはまだわいてませんよ。

と頼もしく、笑った。
d0122500_1426867.jpg

原画、ならぬ、原刺繍。これがアルバムジャケットになります!
[PR]
by recdiary | 2008-04-08 14:29

つるんぶレコーディング日記 はじまる!

2008年5月28日にNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』がリリースされます!
アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けいたします♪(毎週火曜日更新予定です)
* * *

2月29日(金)晴

2008年、うるう年のおまけの日。写真撮影。

この日撮影するNUUの写真は、5月28日にリリースするニューアルバムの宣伝や、今後のライブのお知らせ、HP等で使われるもの。10周年に向けて、今の「2008年のNUU」をうつすことになった。

 カメラマンは、NUUのアルバム『唄波(かは)』『あかり』『縫う』のデザインを担当している岡崎直哉さん。彼が撮影した写真の数々を見ていたNUUは”いつか、チャンスがあれば自分の写真もとってほしい”と考えて、今回はデザインだけでなく、カメラマンとしてもお願いすることになりました。
 そして、ヘアメイクはきゅうちゃん。きゅうちゃんとの出会いは、昨年Fairlife(浜田省吾が作曲、春嵐が作詞、水谷公生がサウンドをプロ
デュースをして、数々のシンガー達とコラボレーションするプロジェクト)の2ndアルバム『パンと羊とラブレター』に参加したとき。NUUのもつ自然体なムードをそこなわず、普段以上のかわいさをぎゅっ!と引き出すきゅうちゃんのメークの魔法を、今回も発揮してもらう事になった。

 まずは、きゅうちゃんがNUUの髪を切る。前と後ろに少し段をつけただけで、雰囲気が軽やかに変化する。お日様の光があたる場所で、岡崎さんときゅうちゃんとNUUはおしゃべりしながら撮影の準備を進める。まだ一曲もレコーディングしていなくても、もうこの時から、そのアルバムが持つ空気が作られ始めている。ふんわりとあたたかく。のびのび、げらげらと笑いながら。
 
 そして、NUUがこの日選んだ服は、大好きな”緑色”のワンピース。
「これ、ファンの方からの手作りプレゼントなんです。これを着て写真とりたくて。すごく嬉しい」
と自然と笑顔もこぼれだす。

 NUUのすごいところは、こんな風に”夢を叶える力”だと、改めて思う。
 こうだったらいいのにな。という気持ちをNUUは自分で行動して叶えてゆく。カメラの岡崎さんも、メイクのきゅうちゃんも、そしてファンの方からの手作りワンピースも。ちょっとの思いつきや感動の気持ちを丁寧に相手に伝えることで、小さな奇跡をいっぱい起こしてゆく。多分、本人にはままならないと感じることも沢山あるとは思うけれど、こうして嬉しそうにカメラの前で微笑む彼女を見ていると、夢はちゃんと叶ってゆくんだ、と思わずにはいられない。

 そんなふうに、好きなものに囲まれてリラックスした雰囲気の中撮影は始まりました。家の縁側で。そして、川沿いの土手で。風が吹いて、空の雲をどんどん押し流してゆく。美しい水色の空にNUUの虹色の傘が映える。

 5月28日にリリースされるニューアルバム。タイトルは

『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』

 ピンと来た方もいらっしゃるか、と思いますが、これは詩人 草野心平さんの詩『河童と蛙』の中に出てくる一節。
 そう、今回のアルバムは草野心平さんの詩にメロディーをつけてNUUが唄う、という時を超えたコラボレーションアルバムなのです!
 
「自分のデビュー10周年にね、自分のオリジナルアルバムではなくて、こういうご縁で繋がったアルバムを作れるっていうのは、すごく幸せだと思う」

撮影の合間にNUUはつぶやいた。

 これから、アルバムが出来上がるまでホントにあっという間。短い時間ではあるけれど、このアルバムができるまでのレコーディングの雰囲気やデビュー10年目のNUUの気持ちなどを少しでもお届けしてゆければ、と思います。

 10年目のNUU。
 この日、ピカピカの笑顔がいっぱいとれました! 
 
d0122500_19192091.jpg

(左から:NUU、きゅうちゃん、岡崎直哉さん)
[PR]
by recdiary | 2008-04-01 19:25