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NUU レコーディング日記

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アルバム全曲紹介!

5月28日にリリースされたNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』!もう聞いて頂けましたか〜?!

このブログでは、アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けしております♪

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最終回は、NUUによるアルバム全曲ひとこと紹介です!

※NUU本人の発言は「」内になります。

ー アルバム全体について

「まず、沢山の人が参加してくれて、こんな才能を集結させることができたことが嬉しかった。皆さんが惜しげもなく素晴らしい才能を貸してくださる。そこにすごい喜びを感じました。
恵まれてました。

そしてすごく面白かったのは、みんなで話し合えたこと。

もし、詩を自分が書いていれば、その内容や気持ちって、他の方に伝える一方なんですけど、今回は私も参加してくださるミュージシャンも誰も詩を書いていないし、書いた方はいらっしゃらないし、内容はわからない。だから、お互いの解釈を出し合って、”これって、こういうことなんじゃない?”と意見を出し合うのがすごく面白かった。

自分が詩を読んで、その解釈を人に説明するというのも初めてで。ある意味「詩の鑑賞会」なわけですよ。みんなで詩を鑑賞して、意見を交換して、それをもとに、別の作品もみんなで新しく作る…という発表会みたいな感じで。このアルバム作りって小さな文化祭みたいでした」


ー河童と蛙

「こないだ、ふと、偶然に想い出したんですけど。
ぺんぺん草ってありますよね。葉っぱの部分をちょこっと茎からひっぱって、くるくる回すとぱらぱらって音がでるやつ。そのペンペン草をくるくる回しているイメージを持ちながら、教室の壇上に上がって朗読しているのを、突然思い出したんですよ。

 実は、去年の5月にこの詩と再会して、あらためて読んでみて「こんな詩だったっけ?」というのが感想だったんです。内容は全然記憶になくて。”つんつん つるんぶ…”というところだけしか印象がなくて。ペンペン草を回しているイメージを持ちながら朗読していたという方が、はっきりと思い出せたくらいで。だから、この曲を唄うときは、3年生の頃の自分を思い出す…、というよりは、今の自分の気持ちで向き合う事ができました。
 あと…、こうやって人に小3年の時の記憶を話せば話すほど、そのイメージが遠のくんですよね。小さく、遠くに言ってしまう。忘れてゆく感じが不思議です…。

 (パーカッションの)渡辺亮さん、面白かった。妖怪のこととか普通にしゃべってるし。ああいう方が”なんかこの曲やりたくなってきちゃった”って言ってくれたのが、誇り高いっていうか、ありがたいなあって思いました」

 
ー 秋の夜の会話

「やっぱり谷川賢作さんは既存の詩に曲をつける、ということに対してすごいんだな、と改めて思いました。職人芸だった。

レコーディング日記の中で”NUUのことをイメージしながら書きました”みたいなことがありましたよね。あれを読んで、ああ、ありがたいなあ、と思って。ありがたい、ばっかりですけど」


ー百姓といふ言葉

「最初は、この詩には自分で曲をつけたくて、ずっと考えてたんですよね。でも出てこなくて。「楽しい」曲にするか「静かな」方向でいくか…。どっちにシフトしていっていいかわからなくなっちゃって。

 それで夏秋さんに頼んで出来上がってきたのが、空気感として私がイメージしていた”静か”と”楽しい”がまざった曲になっていたので、嬉しかったです。でもメロディーが覚えられなくって大変だった(笑)。

 あと、レコーディングの時に、この曲に出てくる野菜の名前。いくつかわからないものがあったんだけど、後日、夏秋さんの奥さんがあそこに書いてある野菜、全部知っていた、と聞いて。驚きました」


ー こどく

「ずっと、Choro Clubの世界の中で唄うのが夢だったので、すごい嬉しかった。厳密には、コントラバスの沢田さんが、いらっしゃらないので、Choro Clubでは無いですが。自分の歌をショーロクラブにやってもらうんじゃなくて、ショーロクラブの世界の中で唄わせて頂くっていうのが。Choro Clubのライブを見に行くと、いつも気持ち良くて。自
分があの演奏の中で唄っているイメージがわいてくるんですよ。うわーって!
それが叶ったので。すごい気持ちいいのができた。
たった3行の、あれだけの言葉なのに、ギターとバンドリンだけであれだけの情感がでて。なんていうんだろう。もともとは”詩”だし、言葉があるのに、まるでインストみたいな。
この曲があることで、CD全体に奥行きとか、高さとか、深さとかがぶわっと加わる感じがしますね。

ー 第八月満月の夜の満潮時の歓喜の歌

面白かった!笹子さんが面白い人だなあ、と思って(笑)。
作曲するとき、NUUのことを考えなかったって言ってましたもんね。

これは、コーラス隊で参加してくれた人達の能力の高さに驚いた。そしてその中に妊婦が二人いたのも驚いた。しかも、その妊婦二人が仲良しになってた。すてきだったな。

最初は笹子さんと話してて、予算的にもミュージシャンを14人呼ぶわけにもいかないし、友達とかでもいいよね、と言っていたんですが、曲が出来上がってきてみたら、やっぱり音感がある人じゃないと…となって(笑)。で、その話をしていた時にちょうど谷川賢作さんもいらっしゃって「じゃあ、僕集めるよ」って言ってくださって。それなら私も…、と思ってミュージシャンのお友達に声をかけたら、集まってくれて。みんな楽しかった〜、って言って帰ってくれて、嬉しかったです」

ー デンシンバシラのうた

「これは初めて文学館に行ったときに、この詩が壁に飾ってあるのが目に飛びこんできて、すごい感動したんです。そしてこの詩が載っている詩集を買って帰ったんですよ。アルバムを作るなら、これは絶対に唄いたいと思ってて。でも、思えば思う程メロディーが思いつかなくて。難産だった…。夜とかすごいあがいて…。これで明日できなかったら、もうだめだ、みたいな時に曲ができたんです。

 机の前で考えてても何も出てこなくて、ある夜、家に帰っている途中に、何気なく夜道にデンシンバシラが立っているのを見て、”そうか!心平さんは、人間じゃなくてこれに頼れっていってるんだ!”というのがわかって。字を見て考えていたのとは違って、目の前にデンシンバシラがあって…。手もない、指もないデンシンバシラに抱かれるって、どんな感じなんだろう…、と、その時初めて向き合えたんですよね。その瞬間がすごいリアルでしたね」

ー 婆さん蛙ミミミの挨拶

「これも文学館で見て、出会ってすっごい感動して。
文学館の中に、心平さん直筆の原稿が並んでいるコーナーがあって、そこでこの原稿を見て。ありがとう、という言葉がすっごいかわいくて。
これも絶対アルバムに入れたい、と思いました」

ー 鰻と蛙

「最初に、草野心平さんの生家でライブをしたときに選んだ曲。
選んだ理由は字面を読んでて、面白いな、と思って。
(自分の声を重ねる)コーラス大変でした(笑)

夏秋さんの中には、音楽に対する絶妙なバランスがあるなあ、って改めて感じましたね。

あと、歌詞の中に「心配はいらない」という言葉が出てくるんだけど、その音階が面白くて。
人に対して「心配いらないよ!」って言う時、自分だったら絶対にこんなメロディーにしないもん。夏秋さんは、心配して落ち込んでる人とかに、ああいう感じで言うんだ〜、と思ったりしました」


などなど。NUUはアルバムについて、こんな風に語っていました。


また、別の日に

「アルバムに入っている歌詞カード、あれって、”詩集”なんですよね」

と、教えてくれた。

アルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』のCDを開くと、中に歌詞カードというか、収録曲の詩が書かれたブックレットが入っている。

普通、CDの歌詞カードは、その”CD”があって、初めてその存在意義があるわけだけれど、今回のアルバムの場合は、”詩”が、すでに作品として成立しているので、歌詞カードではなく、ある意味”詩集”として見る事もできる。

NUUが編纂した、草野心平の詩集だ。


CDを買われた方は、音楽ももちろん聞いて頂きたいけれど、でも、このブックレットを静かに開いて、詩を楽しんで頂く時間があってもいいよね、とNUUは話していた。

まず、詩を自分で音読してみてから曲を楽しんでもらってもいいし、
曲を聴いてから、詩をじっくり鑑賞してもらってもいい。

そして、NUUとミュージシャン達がやったように、
お互いの解釈を話し合って、何か自分達なりの曲をつけてみてもいい。


このアルバムが、みなさんの手に渡って、
また新しい形で成長してゆくのも、
素敵だなあ、と思ってしまいました。

NUUのニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』
どうぞ、ながーく、楽しんでくださいね。

おしまい
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by recdiary | 2008-06-18 18:33

草野心平記念文学館ライブ その2

5月28日にリリースされたNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』!もう聞いて頂けましたか〜?!

このブログでは、アルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けしております♪

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草野心平記念文学館ライブ その2

無事に草野心平記念文学館でのライブが終わり、皆さんが後片付けをしている間に、NUU、夏秋さんと館内を見ていたら、専門学芸員の小野さんがいらっしゃった。

小野さんは草野さんについて非常にお詳しく、アルバム制作の過程でわからない事があると、お電話して確認をとったりしてアドバイスを頂いていた方。気さくで、おおらかな感じのおじさまです。その小野さんが
「いや〜、『河童と蛙』が素晴らしいね!NUUさんの体を通って、心平さんのエネルギーが出てきていたよ」
とおっしゃって下さった。
「以前、タカダワタルさんが「秋の夜の会話」に曲をつけて歌ってくれたことがあったんだけど、やっぱり女性が歌うと全然イメージが違うものだねえ。すごく良いライブでした。ありがとう」

小野さんからのこのお言葉で、NUUの肩の力が少しだけ抜ける。草野心平さんを大切に思い、その作品を扱っているプロの方から”よくやった!”と言って頂けるのは、やっぱり嬉しく、そして、ほっとする瞬間だったようです。
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ステージのNUU

その後、場所を移動し5月9日、10日、11日にいわき市で行ったライブの打ち上げを行いました。
草野心平記念文学館のスタッフ、いわき芸術文化交流館アリオスのスタッフ、草野心平さんの生家ボランティアの皆さん、コーラスにご参加下さった方などなど沢山の方が集まって乾杯。食べたり飲んだり、小野さんが華麗な手品を披露したり…、と、しばし楽しい時間を過ごしました。


そもそも。
このアルバムは沢山の出会いが重なり合って、できあがりました。

まずは、NUUが小学3年生の時の、父兄参観までさかのぼります。
国語の授業で、NUUは壇上に立ち詩の暗唱をしました。
「つんつん つるんぶ つるんぶ つるん」
が含まれる詩です。

手振り身振りを加えて暗唱したこの詩が、クラスメイトにも参観に来ていた父兄の皆さんにも、ことのほか、ウケた。教室があたたまる、みんなの気持ちが一つになる感じ。

その時、NUU自身も、そして参観に来ていたNUUのお母様も、
「ウケてる!がっちりと皆のハートを掴んでいる!!」
という実感があったといいます。この時に感じた”お客さんに喜んでもらう感覚”や”嬉しい気持ち”が、今のNUUを作ったのかもしれない。というぐらい印象的な出来事だったそうです。


しかし、時が経ちその「つんつん つるんぶ つるんぶ つるん」が含まれる草野心平さんの詩が、いったい何という題名の詩だったのか?NUUはすっかり忘れてしまいます。人に尋ねたり、本をめくったりしますが、出会うことが出来ません。

そんなある日。NUUさんはアリオスの前田優子さんから「いわき市でライブをしませんか?」というお話をもらいます。それは、いわき芸術文化交流館アリオスが開館する前に、”アリオス”を沢山の人に知ってもらうため、いわき市の色んなところに出掛けて行って、アリオスを味わってもらおう、と企画された「おでかけアリオス」というイベント。

NUUは、渡された「おでかけアリオス」の企画資料を1ページずつ目を通してゆきました。そして最後のページを捲ったとき、目に飛びこんできたのが「つんつん つるんぶ つるんぶ つるん」
という言葉でした。

あった!こんなところに!!

それが今回のアルバムの一曲目に入っている「河童と蛙」という詩だったのです。それからおでかけアリオスに参加して、いわき市を知り、草野心平記念文学館を知り、このアルバムを作り、ここでライブをすることへと繋がって行ったのでした。

この企画資料を作ったのは、アリオスのスタッフ矢吹さん。
「なんとなく”るんるん”とか、そいう楽しそうな言葉が出てきて面白いなあ〜って思って選んだんですよ。僕にとって特に思い入れがある一編というわけではなくて………あれがきっかけでこんな事になるなんて」
と笑った。
自分がなにげなく選んだ一つの詩が人の心を動かして、それが、イベントを動かしたり、アルバムができるきっかけとなるなんて、そんな素敵な事が起こるなんて、だれも知らなかったのだ。


人は、毎日の暮しを、ついつい「当たり前」だとか「同じ事の繰り返し」だとか思ってしまうけれど、その中には、沢山のヒントが隠されていて、それを拾い上げると、それまで出会えなかった世界とふっと繋がってゆくんだ、と改めて思う。きっかけは、本当に小さい。
もしもNUUが、”おでかけアリオス”の企画資料を最後まで目を通さなかったら、このアルバムは、出来ていないのだ。

きっかけは、本当に小さなことだけれど、
その小さな出来事に自分が「あっ!」と思ったら、
それは、ものすごく楽しい出来事のスタート地点なのかもしれない。


そしてなにより
草野心平さんが
「河童と蛙」
という詩を
を作ってくださって
よかったなあ

と思ったのでした。


最後にもう一つ。
この企画をNUUと一緒に丁寧に育ててくれた前田優子さんにお話を伺いたいな、と思っていました。でも、結果から言うと、私が滞在した1日の間に聞く時間はありませんでした。

前田さんは私がおじゃました5月11日、ずっと動いていました。NUUだけでなく、あらゆるスタッフの方に気を配り、お客様に気を配り、頭を回転させ、どうすれば一番いいライブになるのか?どうすればお客さんに楽しんでもらえるか?NUUが何か困っていないか?コーラス隊の人達にしてあげられる事は何か?みんなご飯は食べてるか?足りない物はないか?
ずっと考え、ずっと動き、問題を一つ一つ片付け続けていた。

本人の言葉を少しでも頂けたら…と思っていたけれど、見ているうちに彼女の動きを止めて話を聞くよりも、前田さんの行動一つ一つに、答えがあるんだなあ、と思えてきた。こういう人っている。しゃべるよりも背中で多くを語る人。

彼女の行動全てに、NUUやこのイベントに対する愛情が細やかに織り込まれていました。

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つづく
*次回は最終回!
NUUによるの全曲紹介です。お楽しみに。
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by recdiary | 2008-06-11 15:57

草野心平記念文学館ライブ その1

5月28日にリリースされたNUUの新しいアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』!もう聞いて頂けましたか〜?!

このアルバムのレコーディング風景やインタビューを記録スタッフがちょこっとお届けしております♪


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5月11日(日)
朝、鍵盤ハーモニカ奏者の夏秋さんと、二人で電車に乗って、NUUの待つ福島県いわき市へ向かいました。

私達が出発した東京のお天気は雨。いわき市に到着すると肌寒い曇り空でした。迎えてくれたのは、NUUのマネージャーさんの酒井さんと、いわき芸術文化交流館アリオスの前田さん。前田さんは、このアルバムの企画からNUUと二人三脚でやってきて下さった方。5月9日、10日、11日、いわき市にある草野心平さんの生家や、商店街でのNUUのライブも前田さんとの共同作業。彼女の力なくしてはこのアルバムは産まれなかったかも!というくらい、バイタリティーのある女性です。

そんな前田さんの運転する車に乗って、約20分。NUU、笹子さん、夏秋さん、酒井さん、そして私はいわき市立草野心平記念文学館に到着しました。

文学館に入った瞬間

「すごーい!!」

と声が出てしまう。

それはそれは、美しい場所なのです。

文学館の玄関を入ると広いエントランスがあり、その奥にまっすぐ進むと、今回のライブ会場となるスペースが。
ライブスペースの突き当たり、つまり壁の部分が全てガラス張りになっていて、外の景色がそのまま建物の中にとけ込んでいます。

お客さんは、NUUの唄う姿の後ろに、自然の景色を見る事ができる。刻々と動いてゆく雲や、揺れる木々や、じわじわと山を覆う靄や、それがまた晴れてゆく様子を見ながら、NUUの唄が聞けるのです!なんという贅沢空間。(文学館のHP内、トップページの写真を見て頂けると、雰囲気が伝わるかもしれません… http://www.k-shimpei.jp/ )

「私が、お客さんになりたいよ〜。すごーい気持ちいい」

とNUU。
ダメですよ。お客さんはあなたを見に来るんだから。

そして早速リハーサルスタート。

もともとこのスペースはライブ会場ではないので、音の響きや広がり方が音楽専用の場所とちょっと違います。エンジニアの岡田さんとNUU、笹子さん、夏秋さんでお話をしながら、少しずつベストの音環境を作ってゆきます。

「ここはライブスペースじゃないから、唄えません」

って言うことだってできる。でも、こうしてみんなで力をあわせれば、
ちゃんと不可能は可能になる。みんなが”どうしたら、できるだけ良い音をお客さんに届けられるかな”と考えて、努力すれば、可能。落ち着いて対処するNUUを見ていて、これも10年の積み重ねだなあ、と感じた。NUUは、ライブスペースだけでなく、カフェや、幼稚園や、パン屋さんや、旧い日本家屋等、色々な場所でライブをしている。喜んでくれる顔が見える、色んな場所で唄っている。その1回1回の経験が、今の自信に繋がっているはず。ここだ、と思った場所を、ライブスペースにしてしまうNUUのかっこよさを感じました。

続いて、コーラス隊のリハーサル。

今回のライブでは、ニューアルバム『つんつん つるんぶ つるんぶ つるん』に収録される8曲を全て披露する。その中には「十四人以上の人物が同時の唱ふべき詩」という詩もある。というわけで、地元の方にご協力を依頼し、パワフルな前田さんのお声がけで唄ってくださる”蛙”コーラス隊が結成されたのです!

楽譜の読める方。読めないけれど、隣の人の歌声を耳で覚えてしまわれる方。唄が上手な方、唄が……自分流の方。色んな方がいらっしゃいました。でも、数回のリハーサルでバッチリOK。少しだけお話を伺うと「楽譜を渡されたときは、こんな曲が唄えるかな〜?と不安だったけれど、NUUさんがリラックスさせてくれたので、大丈夫でした。本番が楽しみ」
「地元で育って、草野心平さんが作詞した校歌のある学校にも通っていたので、こういったイベントに参加できるのは嬉しい」
と口々におっしゃっていた。
そんなコーラス隊のみなさんが持つ楽譜。みなさんお揃いの緑色のカバーをつけている。
これもスーパーウーマン前田さん作だという!!「紙がバラバラすると美しくないでしょう」と、作ってくださったそうだ。なんていう細やかさ。忙しい時間の中で、いいステージにする努力を惜しまないスタッフの姿勢が、こういう所からも見えてきました。いいライブになりそう!

私は、リハーサルの間に文学館の中をちょこっと見学させて頂く。草野心平さんの人生や、作品を、色々な形で知る事ができる面白い展示方法です。直筆の原稿が並んでいたり、親交のあった方との書簡を読めたり、草野さんがやっていらっしゃった居酒屋「火の車」が再現されたお店があったり…。草野さんの詩の世界を歩きながら立体的に楽しめる。また、私がお邪魔した時には企画展で絵本「ごびらっふの独白」(草野心平/詩 いちかわなつこ/絵 斎藤孝/編 ほるぷ出版)のいちかわなつこさんの原画展が催されていた。
草野さんの力強い言葉と、いちかわさんの描くかわいらしく、のびのびと動き回る蛙の表情が素晴らしくて、じっくりと見てしまった…。素敵な文学館です。


そしてそして、ついに本番。
幸せなことに、会場がほぼ満席となる100名近いお客様が来場して下さいました。

ライブは前半が、NUUのオリジナル曲。そして後半が今回のアルバム収録曲を初お披露目する。という構成です。

「昨年、文学館に来た時に、ここでライブやれたらいいな〜、と思っていたから、嬉しいです…」

と、ライブは始まりました。
前半は自分の唄をのびのびと。NUUのお友達の子供の1歳の誕生日に産まれた唄「小春」の時には、お子さん連れのお母さんが一緒に口ずさんだり、涙をぽろりとこぼされたり。会場がNUUの声でだんだん一つになってゆきます。

唄うNUUの後ろには、大自然。
ライブの間にも、雲は少しずつ動き、空が明るくなったり、木の葉がゆれたり。この場所だけの、そして、この瞬間だけの、神様が作ってくれた自然の風景が動いている。白いワンピースに、虹色ショールのNUUは、本当に嬉しそうだった。

そして、後半。草野心平記念文学館で、最初に披露した草野さんの詩は「河童と蛙」。

小学校3年生のNUUが父兄参観日に読んだものと、同じ詩です。

暗記をし、フシをつけて、内容にあわせてちょっと体を動かしながら。

それはまだ、NUUには、NUUという名前もなく、将来ステージに立って唄うなんて誰も知らない頃。

マイクに向かう彼女を見ていたら、人生ってちゃんと繋がっていて、意味があるんだなあ。と少し感動してしまう。

曲順は、アルバムと同じ。そして3曲目「百姓といふ言葉」という詩の途中で、NUUが、歌詞を、間違えました。

演奏を止めて、もう一度最初から!と言って唄いなおすNUU…。

私は、7年程彼女のステージを見ていますが、NUUが歌詞を間違える、というのを、産まれて初めて見ました…。本人もかなりびっくりしている様子です。この詩は野菜の名前が40種類くらい出てきますから、とても覚えにくいんです。見ているみんなも、間違えたことよりも、2回目でちゃんと唄えたことに拍手。無事に終えました。

その後、コーラス隊のみなさんが参加する「第八月満月の夜の満潮時の歓喜の歌」は、想像以上にぱりっと決まって、みなさんかっこいい!笹子重治メロディーを数日のリハーサルで唄いこなせるなんて!天才です。

「デンシンバシラのうた」も、「婆さん蛙ミミミの挨拶」も、唄ってしまうと、あっという間。短い時間です。でも、言葉一つ一つが、心にしゅっと吸い込まれてゆく。草野心平さんの詩が持つ力が、唄にのって、皆さんのこころに届いてゆく…。

最後の一曲は、再びコーラス隊の方が入られて「鰻と蛙」。蛙の大合唱が、ホール全体に響いて、大感動のうちに、終了となりました。

ライブの後。
NUUはちょこっと(ちょこっとですが)、落ち込んでいました。

「百姓といふ言葉」を間違えてしまったからです。
一番間違えちゃいけないところで、間違えちゃった…。
はあーっとためいき。

彼女を見ていて、もし自分が彼女の立場だったら、同じようにがっくりしたりするなあ、もう一回やり直したい!と思ったりするだろうなあ、と思った。

でも、なんとなく。
これは、草野さんからのプレゼントのような、そんな気がした。

お酒を片手ににやりと笑う、草野さん。

「だろう?だからいったろう?あこがれになるのは、難しいんだよ」

と。

この日、NUUのこれまでの歌手人生で、初めてのことがいっぱいあった。
あまり唄い込んでいない、新曲8曲をまとめてステージで披露するのは、これが初めてだったし、
それが全部他の人が書いた詩だ、というのも初めてだった。
そして、こんな風に間違えちゃったのも、初めてだった。

でも、これまでの10年が今のNUUを作ったように、この一日も、これからのNUUを作る1ページなんだと思う。

新しい扉が一杯開いたライブだった。

つづく
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by recdiary | 2008-06-03 15:06